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お婆さんのお菓子

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待ち合わせをしていたお寺に着き、
いつものように境内にバイクを停めようとしたら、
入り口でお巡りさんに止められました。
「今日はお祭りだから、バイクで入っちゃだめ」
と言われ、
仕方がないので、お寺の裏側にでも停めようかとバイクを回しました。

路駐している車の間に停めようとしたら、
「ちょっと!
そんなところに停めて、どこにいくの?」
と、後ろで声が。

見ると、道の反対側の家の前で、お婆さんが仁王立ち!
路駐しているから怒っているんだ・・・
おどおどしつつ、
「お寺に行くんです」
と正直に答えたら、

「うちの前に停めなさい。ほら、ここ」
と、お婆さん。
「あ、ありがとうございます!」

バイクを停めながら、
自分が日本人でチェンマイに住んでいると話したら、
急にお婆さんが
「ニホンジン、ワタシ ニホンゴ ベンキョウ」
と、確かに日本語で言いました。

どこで勉強したんですか?

「第二次世界大戦中に日本兵から習ったの。
当時、私は12歳だったわ。
1サターンのカノムチーン(米粉のソーメン)を100バーツで売ったのよ。
ほほほ、我ながら、ずるいわねえ。

バナナやパパイヤも売ったわね。
お金がない時代だったけど、
兵隊さんがよく買ってくれたおかげで
たった12歳なのにしっかり稼ぐことができたのよ。

私の家には何人かの兵隊さんが泊まっていたわ。
お風呂に入る時は、フンドシひとつでね、びっくりしましたねえ(笑)

兵隊さんに教えてもらった日本語はね…
アタマ、メ、ミミ、ヤスミ。ミミ、ヤスミ。
コドモ、イモウト……。
一緒に遊んでくれて、肩車もしてくれたわね…」
(ミミ、ヤスミ?)

「そうだ、あなた、ちょっと待ちなさい」
お婆さんは家の中に入って、
包みを持って出てきました。

「これを持って帰って食べなさい」

包みの中には、
タイのお菓子とケープムー(豚の皮を揚げたもの)、
黒ゴマ入り豆乳が入っていました。

バイクも停めさせてもらい、
その上、お菓子まで頂くのは悪い気もしましたが、
こういう時は、受け取った方が喜ばれます。

「今私は83歳。でも気持ちは38歳よ(笑)
日本語はたくさん覚えていたんだけどね、
さすがに時間が経つと忘れちゃうわね。
え? 私が元気だって?
あなたもその豆乳を飲んだら、元気になるわよ。
あっ、ちょっとあなたの名前と電話番号をここに書いてよ」

と言って渡された紙には、
どこかで見覚えのある3ケタの番号が書いてありました。

「その番号はあなたのバイクのナンバープレートの番号よ。
(いつの間に!)
この番号の宝くじを買うつもりだから(笑)
それでもしも当たったら、日本に遊びに行くわよ~!
あの時の兵隊さん達はまだ生きてるかしらね、
みんなもし生きてたら……100歳くらい、
そりゃ死んでしまってるわね」

チェンマイのお年寄りには
70年近く経った今でも、しっかりと日本兵のことを覚えている人がいます。

「アジノモト~ また来なさいね」
お婆さんも久しぶりに日本語が使えて嬉しそうでした。
またお婆さんに当時の話を聞かせてもらいにいこうと思います。

家に帰ってコーヒーを淹れて
お婆さんの話をしながら、
お婆さんにもらったお菓子を食べました。
この、今の平和に感謝しながら…。
さすがにケープムーはコーヒーには合いませんが(苦笑)


お婆さんのお菓子_c0132422_0215213.jpg

by yunkao | 2012-08-20 01:18 | 今日のおやつ

タイ・チェンマイをのんびりみちくさ☆ゆかいな写真ブログ


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