2012年 03月 20日
煙ったチェンマイ
なんとなく、浅く息をする今日この頃。
この5~6年、
毎年3月ごろになると
北タイの広い範囲が煙害の被害に見舞われます。
煙害というのは、
山火事などで発生した煙が、村や市街地に停滞して空気を汚す現象です。
チェンマイは盆地なので地形的に煙が溜まってしまうのです。
普通なら、かっと暑くなる時期なのに、
今日も空が薄ぼんやりと曇っていて、涼しい・・・
でもやっぱりどれだけ暑くても、きれいな空気がいいなあ。
先週のチェンマイは、
日曜日や水曜日に、急に突風が吹き、
一部の地域では雨も降ったので、煙害の被害が一時和らいだかのようにみえました。
ところがこの2日、また煙っています。
友人の話では、
3日前にドーイステープで山火事が起きて、
長時間燃え続けたのが原因だとか。
ドーイステープの麓にある我が家は、
朝起きるとなんだか煙くさいし、視界が黄ばんでいます・・・
ゲホッゲホッとせき込む人も目立ちます。
「私たちは、しっかりとした長期にわたる問題解決策を求めます!」
この日曜日に市民が集まって
政府に対して煙害の解決策を求める活動が行われました。
会社員、学校の先生、学生、お医者さん、獣医さんなど、
どちらかといえば、日頃から環境問題に興味のある人が多く参加しているようでした。
それぞれ手作りのプラカートを持ち、
ニマーンヘーミン通りや歩行者天国を歩きました。
やっぱり、子供やお年寄りへの影響が一番気になりますよね。
空気中の煙害の被害を測定する機械が
チェンマイ市内のユパラート高校前に設置されているそうです。
空気中に浮遊する微粒の粉塵を示す値が環境安全基準値を超えると
健康に注意しないといけないそうですが、
北タイではメーホーンソーン県やチェンラーイ県などあちこちで上回っています。
チェンマイ市内も、しかり。
煙害の原因は、
山火事、焼畑、野焼きなどといわれていますが、
これらは昔から行われてきたことです。
10年ちょっと前、
私がチェンマイに来た頃は、こんな煙害はありませんでした。
煙害がひどくなったこの5~6年の間に、いったい何が起きたのでしょうか。
2~3年前は、煙害になると、
ゴミを焼かないこと、焼き鳥など炭火を使う調理を控えること、
などの煙害対策のスローガンが呼びかけられました。
でもとてもそれだけでは、この被害を食い止めることはできないでしょう。
新聞ではミャンマーやラオスから煙が流れ込んでいると報道されています。
中国が介入した大規模なプランテーションなどで、
新しく農地を確保するために、焼畑が行われているという可能性もあります。
真相は定かではありませんが、
だれか専門的に調査している人がいれば、話を聞いてみたいです。
デモに参加したお医者さんは、
「煙害の原因は山火事や焼き畑だけではありません。
大量消費をする私たち街の人の食糧を確保するための大規模な農業が、
自然環境を変え、煙害の原因となっているのです」
と話していました。
この4、5年、
街に多くのアパートやコンドミニアムが建設され、
コンビニやファーストフードなどのお店が急激に増え、とても便利になりましたが、
それとちょうど重なるように、煙害がひどくなっている印象があります。
煙害は4~5月に吹く大風や雨が降る頃まで続きます。
煙がなくなると、煙害の事など忘れてしまうのですが、
こんなふうに毎年ひどくなるのでは困ります。
水害と違って、実質的な被害が見えにくい煙害。
「長期にわたって続けられる問題解決策」は、あるのでしょうか。
この時期の夕日は、バンコクの夕日に似たマゼンタ色。
煙の粉じんが乱反射してこうなるのだそうです。
きれいなんですけどね...(涙)