2008年 08月 29日
チェンマイ昆虫博物館
表の門の飾りも蚊
チェンマイで「蚊」といえば、有名なおじさんがいます。
シリマンカラージャーン通りにある昆虫博物館の館長、
マーノップ・ラタナティクンさん(76歳)です。
こんにちは~
マーノップさんが着ているユニークな蚊のTシャツ、
以前博物館で販売していたそうですが、売り切れ中。大人気です。
ダンナも「欲しかった・・・」と残念がっていました。
館内の入り口には、シロアリが巣食った木の切り株や、大きな蜂の巣、
不思議な形の石など、「自然の芸術作品」が並んでいて、独特の雰囲気がありますが、
2階にあがると、昆虫博物館らしく(当然ですが)、
昆虫の標本が並んでいます。
虫のことはよく分からないので、
きれいだなー、面白い形だなー、と眺めることしか出来ませんが、
昆虫好きの人には、いろいろ見るべきものがあるのだと思います。
そして、私が面白く思ったのは、マーノップさんの人生。
まず、この写真を見てください。
左の男の子がマーノップさん。当時3歳。
かわいいですね。
左は当時90歳だったおばあさんです。
マーノップ君、ポケットをぎゅっと握っているのが見えますか?
ポケットの中に入っているのは・・・・
これ!
おもしろい模様の石です。
「私のファースト・コレクションです!わはは」と、マーノップさん。
こんなに小さな頃から、自然の不思議なものが大好きだったんですね。
「学生時代は、チェンマイ門からユパラート学校まで
毎日、ライムを1個蹴りながら、てくてく歩いて通ったんですけど、
通り道にアメリカ領事の住む家があって、
その前を通るたび、ハーイ!と挨拶していたんですよ。
何しろ元気な子供だったからね(笑)。
そうしたら、ある日、そのアメリカ人がお菓子をくれたんです。
そのうちに仲良くなって英語を教えてもらうようになりました。
私はお礼に、庭の草刈や水撒きなどの手伝いをしました」
そしてマーノップさんが高校を卒業する頃、
アメリカ政府がチェンマイにマラリア研究所を作ることになり、
英語が上手になっていたマーノップさんが、職員として雇われることになったそうです。
こうして、マーノップさんの蚊の研究者としての人生が始まります。
研究者時代。「おっとこ前でしょう、わはは」
「蚊を探しにタイ全国の田舎や森に出かけるからね。
そこで、昆虫や石など、自然界の面白いものがどんどん集まっていくわけですよ。
それにアメリカ人のコレクターと交換をしたから、世界中の昆虫も手に入ったんだ」
なるほど~。
博物館にあるコレクションは、そうやって集まったんですね。
一階の奥には蚊の標本や、ウイルスを媒介する蚊の図解などが展示されています。
デング熱の蚊も大きく紹介されています。
7月にダンナが突然高熱を出した時、
真っ先に疑ったのが「デング熱」でした。(結局、違いましたが)
蚊が媒介するウイルスで、街の中のちょっとした水溜りに卵を産んで増えるのだそうです。
マーノップさんが発見した新種。マーノップさんの名前をとって、「マノピー」
じっくり見ているうちに怖くなってきた私に、マーノップさんは言います。
「蚊は嫌われ者ですが、見方を変えれば、自然の中でワクチンの働きをしているとも言えます。
なにしろ、人間はずっと蚊と暮らしてきたんですからね。
自然は上手くできているんです。
私たちは自然と共存する方法を考えないといけません。むやみに薬を撒くんじゃなくてね」
今でも、家の周りにいる蚊を、昔と同じ方法で収集するそうです。
「こうやってガラスの管を使って吸い取るんですよ」
「研究者だった頃は、捕まえた蚊にまず自分の血を吸わせて、
卵をかえらせてから、蚊を解剖して検査していました。
マラリアはどのくらいで発病するかよく知っていますし、
薬も手元に充分にあって、すばやく処置できるので大丈夫なんですよ。
まあ、他の人は怖がってやりませんでしたけどね(笑)」
・・・体を張っていたんですね。
「心が丈夫なら、病気には負けないんですよ!
毎日、正しく考え行動することが大切です」
そ、そうですか。
心が弱い私は・・・ダメかも・・・
ちゃんと蚊避けスプレーをふって、予防します。
皆さんも、しっかり予防してくださいね。
生き生きと情熱をもって、昆虫の説明をするマーノップさん。
蚊という小さな生き物を見続けてきたからこそ、
自然の偉大さがわかるのかもしれません。
きっと、面白い模様の石に夢中になった子供の頃の感性を、
真っ直ぐに育て続けた人生だったのでしょう。
機会があれば、ぜひ、自然のエネルギーに満ちた昆虫博物館へ、
マーノップさんを訪ねてみてください。
Museum ofWorld Insects and Nutural Wonders
Nimmandemin Road Soi 13
営業時間 9:00~18:30 年中無休
入場料 大人300B、子供100~200B
館内での撮影 100B
電話 0-5321-1891
展示物の英語・タイ語の解説文を日本語に翻訳する日本人ボランティアを募集しているそうです