2008年 07月 21日
プアイ君の遺作展
知り合いの陶芸家SUPAISARN PONTANEOUS(プアイ君)の
遺作展が開かれています。
美術館1階の広い展示場に
数百点の作品が整然と並びます。
プアイ君はチェンマイ大学美術学部の陶芸コースで助手をしていました。
チェンマイ大学の陶芸コースは専攻ではないので
版画や彫刻、ペインティング専攻の学生などが選択で学びます。
普段は専門の教授はいなくて
プアイ君が講義から実技の指導までを受け持ち、
授業外でも材料や作業場の管理など
全てを1人でこなしていました。
外国の大学から教授が指導に来たときは
そのサポートにまわります。
昨年は、日本から教授が指導に来られました。
私は通訳のお手伝いをして、その時にプアイ君と知り合いました。
釉薬の講義などは、日本語で説明を聞いてもなかなか難しいものです。
つたない通訳をプアイ君にフォローしてもらって、ずいぶん助かりました。
佇まいがカッコイイ色見本
自分の作品作りと同様に、
教える仕事にも熱心に取り組んでいたようで、
学生達からとても慕われていました。
毎年、年末に行われるアート・フェスティバルでプアイ君に会った時、
「売れ行きはどうですか?」と尋ねると
「いや~、後輩や学生の作品の方がよく売れますよ~」とニコニコと答えていたのを、
今でもよく覚えています。
今回の展示では、お店やコレクター所蔵の作品から、
歩行者天国で売っていた食器類まで、
いろいろな作品が並んでいます。
イラスト風で面白いゴスの絵付け
日本の茶道具に興味を持つタイの陶芸家は多い
「どうですか~」と
作品の間からプアイ君がひょっこり現れそうな気がします。
プアイ君は今年の1月に亡くなりました。
原因は不明ですが、
亡くなる前の数日間は、毎日遅くまで学部の仕事をし、
その日も明け方まで窯焚きをして
「疲れたから休む」
と学生に言い残したきり、だったそうです。
アンティーク調の象の神様
ギャラリー所蔵の作品
様々なテクニックを独学で身につけていたプアイ君。
作品のタイプは色々ですが、
最後の方の作品は
もともと版画出身のプアイ君らしさが出ているような気がします。
陶板
自分の時間=陶芸 という人でした。
まだ31歳という若さで、
誰よりも本人が驚いていることでしょう。
後から知ったのですが、
プアイ君は両親の代わりに高校生の弟さんを養っていたのだそうです。
もっと、お話をしていればよかったなあ・・・・
今回の作品の一部は販売されていて、
そのお金は弟さんに寄付されるそうです。
好きなことに誠実に打ち込むプアイ君の姿に、
学生さんたちは多くを学んだことでしょう。
この遺作展は今月30日まで、
チェンマイ大学美術館1階にて行われています。
チェンマイにいらっしゃる方で興味のある方は
ぜひ、足を運んでみてください。