2013年 07月 21日
森の蜂蜜2
はちみつハンターはさっき自分で打った杭をつたって
するすると上っていき、
杭がないところからは、木にまたがって進み、
ついに、蜂の巣のある場所まで到達しました。
ハンターが松明に火をつけ、
煙を巣に近づけたとたん
ブーーーーーン!!!!!
物凄い羽音と共に、
茶色い巣がみるみるうちに白くなりました。
遠くからみて茶色だと思っていた蜂の巣ですが、
茶色い蜂が巣に集まっているからで、
巣の色そのものは白だったんですね・・・
巣から離れた蜂がいつこちらを襲ってこないか・・・・
ハンターは長袖を4枚、ジーンズを2本履いて防備していますが、
見学者は全員、半そで一枚、足元はサンダル・・・無防備です。
私も長袖を着てくるのも、虫よけも忘れてきてしまった・・・
村の人は
「もし蜂が襲ってきたら、
道に停めてある車の中に避難してくださいね」
と朗らかに言っていたけど、
森の斜面をここまで登ってくるのも一苦労だった私。
果たして、車の所までたどり着けるのでしょうか。
「蜂に襲われて逃げる時は、ずーっと遠くまで走らないといけないんだ。
100メートルくらい走って疲れたからといって立ち止まって、もし追ってきた蜂に見つかったら、
その後もずーっとついてきて、蜂の群れが村まで来てしまうんだよ」
さっき、ハンターが言っていました。
・・・私、そんなに走れません。
煙と、ブーンとうなる羽音に渦巻かれ、
なんだか心臓がドキドキしていきました・・・・
うう、胸がちょっと苦しい・・・かも・・・
もしかして、昼に食べた蜂の子にあたったのかと
先程の蜂の子の映像が一瞬頭をよぎるほどでした。
(多分、ただの緊張です)
一方、蜂蜜ハンターは蜂にたかられながら、
黙々と作業を進めていました。
蜂の巣の上の部分を一部切り取り、
巣の下にすえた一斗缶に入れます。
蜂蜜が蓄えられているのはその部分だけで、
あとは卵や幼虫が育つ部屋になっているそうです。
同行した村人が、
下から、ハンターに何やら声をかけました。
すると、ハンターは巣を1かけ切り取って、
一斗缶の中に入れました。
後でわかったのは、
「蜂の子も少しとって」とお願いしたようです。
村の蜂蜜ハンターは、こんな風に蜂の子を少し採ることもありますが、
普段は蜜しか採らないのだそうです。
次回もまた蜂蜜を分けてもらうために
蜜だけを採って、卵や幼虫は美味しいけど、残しておく。
それが森と共生するパカヨーの知恵なんですね。
ハンターは一斗缶に結んだロープを使って、
まず蜜の入った一斗缶を木の上から地上に下ろし、
その後、無事に降りてきました。
この人がハンターです!
ターウォン君。
この暑い時期にあの防備。汗びっしょりです。
お疲れ様でした。
今回は大人しい蜂だったそうで、一か所も刺されなかったそうです。
よかった・・・・
採れたての蜂蜜をちょっと味見。
甘~い♡
ちょっぴり苦みがあって、深い味です。
蜂や巣と蜂蜜を分けるため、
一斗缶にガーゼのような布をはって、ろ過します。
瓶に詰めると、村人が買いに来るのだそう。
ハチミツは村人にとって薬でもあるそうです。
体調が悪い時になめたり、傷口にぬったり。
白い巣は溶かしてろうそくを作ります。
これはターウォンさんが蜂の巣10個分で作った1mくらいある大きなろうそく。
見学している方から見ると、
命綱なしで、20~40mもの高い木に登って、
時には蜂に襲われ、命懸けの大変危険な仕事に思いますが、
採っている本人にとっては、そんなに大変なことではないようです。
「怖かったのは 最初のころだけ。
22歳の時に蜂蜜採り名人のおじさんについて教えてもらったんです。
僕はプンルアンの蜜が蜂蜜の中で一番おいしいと思っています。
4~5月の間だけ、20回くらい採りに上ります」
ターウォンさん、今はキャリア10年のベテランです。
「一斗缶のロープの結び方が重要なんですよ」
と言って、実演してくれました。
「最初の頃はこれがうまくできなくて、
せっかく採った蜜を落としてしまったこともありました」
ハンターにとって重要なポイントのようです。
村を出る時に、採れたてのプンルアンの蜜を分けてくれました。
蓋にハンターのサインを入れてもらって、
なんとなく、我が家の高い棚の上に飾っています。
後日、タイの新聞に
「葬式中、村人がプンルアンに襲われ気絶した人も!」という事件が載っていました。
また、ターウォンさんではありませんが、
村人が蜂の巣を下見(蜜が入っているかどうか)した時に、
蜂に襲われ、200か所も刺されてしまい、
すぐに病院に運ばれたので、なんとか一命を取り留めたという事件があったそうです。
・・・やっぱり命懸けの蜂蜜です。
高さ40m近い木。ハンターはどこでしょう?
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