2010年 05月 05日
ポーイ・サーンローン
日本は端午の節句でしたね。
北タイで男の子のお祭りといえば、
ポーイ・サーンローンを思い浮かべます。
ポーイ・サーンローンというのは、
タイヤイ(シャン族)の得度式のことで、
3月から4月の農閑期に、少年たちが出家をする際のお祝いです。
きらびやかに着飾った少年が
肩車をされてパレードをするとても華やかな儀式です。
敬虔な仏教徒にとって、出家するということは
大変な徳を積むことができる善行です。
両親は息子を出家させるため、一生懸命お寺に収めるためのお布施を貯めます。
だから、ポーイ・サーンローンのお祭りは、
タイヤイの人たちにとって新年祭よりも重要な行事で、
一年で最も盛大に行われるそうです。
チェンマイでは、ワット・パーパーオのポーイ・サーンローンが有名ですが、
ミャンマーから逃げてきたり、出稼ぎで来るタイヤイの人々の人口が増えたため、
最近になってワット・クータオというお寺でも盛大にお祝いされるようになりました。
今年は78人の少年が出家したそうです。
ワット・クータオのシンボルでもあるひょうたん型の仏塔と、本堂の周りを、
出家前の少年を肩車した人たちが踊りながらぐるぐると回ります。
出家すると黄色い袈裟を着るのですが、
その前に、このように着飾ってお祝いの儀式をします。
出家前の少年たちは神聖な存在とされ、
地面に触れさせないように、どんな時でも誰かが肩車をして運びます。
肩車をしている人と背丈はあまり変わりませんね(重そう・・・)
気温は40度を越える猛暑の中、
立っているだけで汗だくだくなのですが、
大きな太鼓やドラのリズムに合わせて、
皆さん、踊りまくっています。
すごい熱気! 楽しそうです!
おっとっと~!
地面に触れさせてはいけないのですが、
わざとこんな風に、ぎりぎりに下げて踊る人もいます。
足腰が丈夫ですね~
こちらも、おーっとっと~!
本堂前ではお寺へのお供え物をつるしたおみこしを
大勢の男性が担いで、激しくぐるぐる回したり、
ものすごーく、傾けたり。
(ちょっと激しすぎて、途中で支柱が折れていましたが、苦笑)
なかなか、迫力があります!
主役の少年たちは、お化粧も施されて、まるでお人形のよう。
きらびやかな衣装やお布施など、
親御さんは、この日のためにずっと前から準備してきたのでしょう。
1人出家させるのに、4~5万バーツ(約15万円)の費用が必要なのだそうです。
これは出稼ぎに来ているタイヤイの人たちにとって、大変な金額です。
この費用が出せない場合、兄弟や親戚に出してもらったり、
時には血縁関係のない全くの他人で、子供のいない人が、
変わりに出すこともあるそうです。
(シャン州では資金を出した人が年老いた時に、
親として老後の面倒をみてもらうこともあるといいます)
みんながなるべく平等になるようなシステムですね。
また、タイヤイの人々にとってお寺は、
自分たちの文化を継承するための教育機関でもあるので、
子供の教育費を出すようなものなのかもしれません。
朝早くからの儀式が3日間続き、
この日はその最終日でした。
さすがに疲れたのでしょう、
肩車の上で寝ちゃっている子も(笑)
暑い中、長時間、熱狂的に踊る人たち。
親の世代の95パーセントがミャンマーのシャン州から来ていると聞きました。
(子供たちはタイで生まれている場合が多いと思いますが)
皆さん、踊りながら故郷を思い出しているのでしょうね。