みちくさチェンマイ

yunkao.exblog.jp
ブログトップ
2009年 06月 08日

生贄を食べる儀式 「プーセ・ヤーセ」

c0132422_13133885.jpg

先週6月6日に伝統行事「プーセ・ヤーセ」が行われました。

場所は、家の近くのメーヒア地区。
いつもダンナが自転車で通るコースの途中の林の中です。

「プーセ・ヤーセ」とは男女の鬼の名前ですが
今では守護神として、地域の人びとの信仰を集めています。

「プーセ」は、ステープ山の守護神、
「ヤーセ」は、儀式が行われる場所のすぐ側にある
カム山の守護神だそうです。


この儀式は、
チェンマイの先住民族であるルア族の風習が起源といわれ、
土地の信仰と仏教とが融合したものです。
話には聞いていましたが、
見るのは今回が初めてです。


儀式の場所から近いカム山の麓に、
この「プーセ・ヤーセ」を祀った祠があります。
リアルな蝋人形がじっとこちらを見つめています。
c0132422_13214417.jpg

       左のおじいさんが「プーセ」、右のおばあさんが「ヤーセ」

昼間でも、ちょっと不気味な雰囲気・・・。



「プーセ・ヤーセ」の儀式について、
こんな説話が残っています。


遥か昔、
チェンマイの都ができるより、
ずっと前のこと。

プーセ・ヤーセは
人肉を食べる鬼として、
ルア族に恐れられていました。

その頃、
この地に仏陀が訪れ、
人びとに仏法を伝授していましたが、
プーセ・ヤーセは、
全く耳をかそうとしません。

そこで、
仏陀が目の前で奇跡を起こして見せると
恐れおののいたプーセ・ヤーセは
すっかり改心して、人食いを止めました。

しかし、
プーセ・ヤーセは
人の代わりに獣の肉が食べたいと言い出しました。

人びとは、
毎年、5月か6月頃に
水牛を一頭生贄にする儀式を行う約束をし、
プーセ・ヤーセはそのお礼として、
人びとの守り神となりました。



これが、
この儀式のいわれなんですね。


実際の儀式の中では、
「プーセ・ヤーセ」の霊が乗り移ってトランス状態になった人が、
生贄の水牛の生肉を食べるという、
なんとも迫力のある
ショッキングなシーンがあるので、
近年は、恐いもの見たさの見物客が押し寄せます。





早朝、
儀式の場所には
竹の柵と白い糸で結界をはった中に
生贄の水牛が一頭、おかれていました。
c0132422_13564978.jpg

いくつかの精霊を祀った小屋が並び、
祈祷師が、そのひとつひとつにお供えをして祈ります。

生肉を食べるなんて!
と、ちょっとショックですが、
実は北部では、
普段から生肉のミンチをハーブや香辛料であえた「ラープ」や
生の血をたくさん使った料理「ルー」などが
珍味やご馳走として食べられているので、
それほど、変わったことではないのですが・・・・・・・
c0132422_13574367.jpg

儀式の前にも、
生贄の水牛の一部がラープにされていました。

とはいえ、
一度にたくさんの生肉を食べるのですから
寄生虫や細菌、ウイルスなどがいると大変危険です。
食べた後、具合が悪くなることもあります。

現場には救急車も来て、
万が一に備えていました。




僧侶がお経を読み始めました。
c0132422_1434727.jpg

中央にある長い箱のなかには
仏陀を描いた大きな布の絵が入っています。

この絵は描かれてから100年近く経った古いもので、
年に一度、この儀式でしか見ることができません。

修復されながら
普段は大切に保管されています。


大きな木に吊り下げられました。
c0132422_144914.jpg

人びとはお経を聞きながら
手を合わせています。


実はこの仏陀が描かれた絵には
不思議な力があり、
勝手にゆらゆらと揺れ、
その揺れ方で
この年の吉凶を占えるのだそうです。


さて。
精霊の小屋の隣のテントにひかえていた
チャルメラや太鼓、木琴などの楽団が、
にぎやかに演奏をはじめました。


いよいよ、
鬼の登場です!


鬼が乗り移るのは
霊力の強い呪術師で、
今年はプーセが1人の男性呪術師に乗り移りました。
(時には見物客に乗り移ることもあるとか!?)


鬼が憑依した男性は、
水牛近くの竹ざおにかけてあった
酒と水牛の生肉の塊をつかむと
むしゃぶりつきます。
c0132422_14124250.jpg

あ、意外と普通の格好ですね。

c0132422_1413975.jpg

でも表情は・・・やはり、トランス状態の様子。普通ではありません。

木に登って、むしゃむしゃ食べたり飲んだりした後、
生贄の水牛にまたがって、
肉に噛み付いたり。
その迫力に見物している人も思わず手を合わせています。

この時、
仏陀の絵がかけてある方から
「おー!」
という歓声が聞こえてきました。
見ると、絵が左右に激しく揺れているではありませんか!
c0132422_1414062.jpg


男性は結界を越えて外に出ると、
仏陀の絵のところまで行き、
改心したのでしょうか、
また精霊の小屋に帰っていきました・・・。


その後、
精霊に備えられていた
小豆や米、胡麻などの穀物が
参拝客に配られました。
縁起が良いものなので、奪い合いです(苦笑)。
c0132422_14143547.jpg

私も小豆一粒をゲット!

鬼のように、
心を入れ替えて、がんばりたい・・・いろいろ。(私の心の声)


仏陀の絵の側にいた人は
「今年は去年より大きく揺れているから、
雨が沢山降るだろう」
と言っていました。

雨季のはじめに行われるこの儀式には
豊作を願う農民の
雨乞いの意味も含んでいるのかもしれません。


本当に鬼が憑依したのかは定かではありませんが、
観光資源のひとつとして、
これからも儀式は続けられていくのでしょう。



ちょうど儀式が終わる頃、
雨がぱらぱらと降り出しました。
[PR]

by yunkao | 2009-06-08 19:19 | きらきら☆歳時記


<< お昼はパン      アートイベント「HOSO」 >>